神社の杜のワーキング・プレイス 8KUMO 発進


神社の杜のワーキング・プレイス 8KUMO 発進

8KUMOから望む富士山

学生時代から山登りやキャンプが好きで、八ヶ岳連峰や南アルプスの縦走、清里や奥蓼科でのキャンプなどで、何度もこの辺りに来ていました。そんな頃から、「こんな場所に住めればいいなぁ」と思っていました。

そんな私が、ひょんなことから八ヶ岳南麓に居を構えたのが、いまから5年前の2016年のこです。そのあたりのいきさつについては、いずれ書くことにします。

毎週末や休日、あるいは、籠もって仕事がしたいときなど、こちらにやって来ます。自宅のある国立からは1時間半、オフィスのある吉祥寺からは2時間ですから、わりと気楽なものです。なぜそんなにまでして、ここに来るのかと思われるかも知れませんが、それは「空気」のためなんです。

「空気?」と思われても仕方がありませんが、とにかく空気が美味しい。身体の中が洗われて、血液も入れ替わります。都会に戻ると、息が苦しくなり、早く戻りたいと思います。ここに家を構えている人たちは、似たような経験をしていますので、表現は違いますが、いずれにしても生気が蘇ることを実感しているのだと思います。

「そんな場所なら、仕事も捗るでしょうねぇ」とよく言われます。しかし、なかなかそういうわけにはいきません。薪作りや草刈り、庭や森の手入れ、料理作りやBBQなど、季節を問わずやることがいっぱいあって、いつも大忙しです。

とはいえ、クリエイティブな仕事には、森の力がとても助けになります。ボーッとして、思索して、またボーッとすることを繰り返し、新しい研修のアイデアや教材の内容を考えたり、次の事業の構想を描いたりといったことには、とても良い場所です。

自然の中は、実に多くの情報に満ちあふれています。時間や季節の移ろいとともに、音や匂い、風や光が、変幻自在に組み合わさり、様々な「空気」を織りなします。ちっぽけな人間の思考の所産でしかない型にはまった都市空間やオフィスよりも、多様で複雑な刺激に満ちあふれています。たぶん、そんな「空気」が、私たちの創造性を刺激してくれるのでしょう。

「空気」とは何かですが、もちろん大気もそうですが、たぶん五感なのでしょう。都市空間では、カタチも色も、匂いも音も、風景も温度も、人間の思考で生みだされ、狭く画一的です。一方、自然は、季節×時間×天気といった要件の複雑な絡み合いによって、多様な、そして変化し続ける刺激を私たちの五感に与え続けます。たぶんこれこそが、ここちよい「空気」の正体ではないのかと思います。

都市空間が作り出す、誰かが作った予測可能な型にはまった身体感覚ではなく、複雑で予想外の身体的感覚を味わうことができることが、私たちの創造性を刺激してくれるのでしょう。

コロナ禍を機にリモートワークが定着し、さらには、ワーケーションや地方への移住が増えています。いま、そんなリッチな身体感覚を求めている人が増えているのかも知れません。八ヶ岳の南麓は、そんな人たちにとって、最適な環境です。

こんな場所で働き、人が集まり、仕事をすれば、人は元気になれます。自分の存在を静かに感じるにも、森の自然は大きな助けになります。

ならば、ここに誰もが気楽にやって来て、仕事ができる、勉強ができる、チームで議論ができる、そんな場所を創ったら、きって喜んでもらえるだろうと思い始めたのが、3年ほど前です。

コロナ禍をきっかけに、その思いは益々強くなりました。オフィスに縛られず、「自分が最もパフォーマンスを上げられる場所で働く」ことは、働く人たちの権利であるとの意識が高まり、企業もまた、それを許容できなくては、優秀な人材を失ってしまうかも知れません。ならば、「アウトドアで働く」という少々奇抜な提案も、きっと多くの人が受け入れてもらえるに違いないと、思うようになりました。

そんなこれからの時代のワークスタイルを最高の体験とするために、神社の杜(もり)のワーキング・プレイス「8KUMO(やくも)」を始めます。

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