石垣と石場建て
できるだけ広く、そしてしっかりとした土台の駐車場を作るために、石垣を積んでいます。全部で、200個くらいの石を使うのだそうです。石と石とがうまくかみ合うように、調整をしながらですからの大変な作業です。職人さんたちの丁寧な仕事に、ほんとうに頭が下がります。
この大きな石は、水屋棟(管理人室とカフェ・スペース)の建屋の礎石となります。「石場建て」と呼ばれる伝統工法で、深く掘った地面に砂利を突き固め、その上に石を置き、その上に柱を立てる構法です。
古くから、神社や仏閣などを建てるときに使われていた構法で、地面に突き出た石の形に合わせて柱の底を削り、ぴったりと合わせて載せるだけのやり方です。
そんなやり方で地震の時は大丈夫なのかと思われるかも知れませんが、固定しないのが、この構法の肝で、地震で揺れる礎石の上を、柱が滑って振動を逃がしてくれることで、建物へのダメージを軽減させることができるそうです。
構造力学的には、解明されていない部分もあるのだそうですが、古い寺社が何百年も倒壊することなく立っていられるのは、石場建てのおかげでもあるのです。
建物もこの森で伐採した木を製材して作るのですが、柱と梁を、釘を使わずに羽目合わせて建てるのですが、木のしなやかさと木の乾燥で縮むことを考えて、うまく隙間を作っているので、地震でも建物全体が、しなやかたわみ揺れてくれる柔構造となり、やはりダメージを軽減するのだそうです。先人の知恵は、素晴らしいとつくづく思います。
デジタルな時代だからこそ、森の自然とアナログな建物が、心の慰めとなり、そして、心地よさを自然と演出してくれると期待しています。
いまはまだ、積み上げ途上の石垣ですが、何年かすれば、草や苔が被うことになるでしょう。自然が、勝手に自分たちに心地良いように塗装してくれるようなものです。時間はかかりますが、そんな緩やかな時間を楽しむのも、8KUMOの醍醐味なのだと思っています。