水屋棟の設計完成と金輪継ぎの話し
8KUMOの水屋棟(管理人室とカフェ&キッチン、シャワー室など)の設計が完成しました。
これがフロアの平面図です。建屋の奥行が5460mmあり、さらにその前(図面では下)に同じ幅のテラスがせり出し、建屋とテラス全体に大屋根の載せる構造です。
内部の詳細なレイアウトは、これからまだ詰めることにはなるのですが、基本構造はできあがりました。
建物内のカフェスペースとテラスが、ひとつながりになって、大きなワーキングスペースになります。テラスは広いので、焚き火ができるファイヤーサークルを置こうかと考えています。
この建物は、日本の伝統構法を使います。前回も紹介しましたが、土台は穴を掘り砂利を入れて叩いて固めます。その上に100個ほどの束石(礎石)を載せる石場建てです。100個ですよ!コンクリートを流し込めばあっという間なのに、100個の石を埋めて、それに合わせて束(短い柱のことで、床を支えるために使われます)の底を石に合わせて削り、ひとつひとつ載せていくわけです。凄いと思いませんか?大工さんには、頭が下がります。
ところで、大屋根の梁ですが、8KUMOの森で切り出した唐松を製材して使います。もちろん、一本では長さが足りません。そこで、それを継ぐのですが、その方法もボルトや金具を一切使わずに「金輪継ぎ」という木組みで行います。これがその「刻み」作業の風景です。
一番長いところでは、5本を「金輪継ぎ」で継ぐのだそうです。よくまあ、まっすぐにつながるものと、驚くばかりです。もちろん職人さんの腕が良くなければ、こんなことはできません。
その他の建物の構造に関わるところは、全て組み木です。使う場所に応じて、その方法が全て違います。そんな組み木を使えば、金属を使うことによるサビが出ず、耐久性も高まります。そして、何よりも乾燥しきっていない材木を使うので、当然、建設後にも乾燥で動くわけで、その動きをどのように逃がすかも考えなくてはなりません。
材木一本一本の性格を読み、それに合わせて木を刻み、組み上げていく。高い技術を持つ職人にしかできない仕事です。
まだまだ、8KUMOは冬ですが、八ヶ岳南麓は晴天率が高く、日照時間も長いこともあり、日の当たるところは、直ぐに雪が解けてしまいます。今年は例年になく寒い日が続くとは言え、先週の大雪で積もった雪は、もうだいぶなくなっていました。
この森を手に入れて、最初にやった大仕事は、土に埋もれていた「馬頭さん(このあたりでは、馬頭観音のことをそう呼びます)」を掘り出して、土を払いまっすぐに立てたことです。今日も、工事の無事を祈って手を合わせてくれています。