井戸掘り 62.5m 無事出水
この1週間でいろいろと工事が進みました。
ひとつは、井戸掘り。62.5mで良質の水脈に当たりました。田んぼの水位から20m位の高さにある高台に8KUMOはあります。それなりに深い井戸にはなるだろうとは思っていましたが、無事想定の範囲で水脈に当たりました。
この辺りは、環境省が選定した「名水百選」のひとつで、八ヶ岳南麓高原湧水群(やつがたけなんろくこうげんゆうすいぐん)と言われる地域の一角にあります。八ヶ岳南方にある権現岳の水源林の水や雨水が、編笠山の火成岩層に浸透して地下水となり、清里高原地下の帯水層を経て中央線小淵沢駅付近に湧出すると考えられています。
ミネラル分が豊富で、大変、美味しい水で、我が家でもこの水を飲料として使っています。
そんな「8KUMOの名水」でお茶やコーヒーを頂けるのは、なんとも楽しみです。何よりも、夏の暑い日に美味しい水をガブ飲みするのは、最高のエンターテイメントになりそうです。
「もう少し深く掘って、温泉を掘り当てましょう!」
そんなアドバイス(?)をくれた方もいますが、この辺りで温泉を出すには1000mくらいは、掘らなくてはなりませんから、多くの皆さんが8KUMOをご利用頂き、十分な資金が貯まりましたら、検討させて頂こうと思います。ぜひ、ご協力をm(_ _)m
もうひとつの進捗は、水屋棟の礎石/束石の配置が終わったことです。決して、平安時代の仏閣の遺跡を発掘した訳ではありません(笑)。ただ、その時代から伝わる伝統的な工法である「石場建て」で建物を建てるわけですから、「遺跡」ぽく見えるのも当然かも知れません。
まずは、約80cmの穴を掘り砂利を埋め、それを機械で押し固めます。この土地は、冬場は地面が凍り、霜柱で地表が浮き上がってしまいます。これは、なかなか凄い力で、大きな石でも持ち上げてしまうほどです。そこで、凍らないところまで穴を掘り基礎を固めなくてはなりません。ちなみに東京であれば、10cm程度ですから、いかに深くまで掘るかがおわかり頂けるのではないかと思います。
こうやって押し固めた砂利に礎石/束石を埋めます。その数何と80個ですよ。しかも全部カタチが違うわけで、それらを丁寧に配置してゆきます。本当に大変な作業だっただろうと思います。
確かに、パワーショベルで穴を掘り、コンクリートを流し込むのが、一番手間のかからないやり方です。しかし、8KUMOでは、それをしたくありませんでした。それは、「自然の中で、心地よく仕事を楽しむ場所」であることを大切にしたかったからです。
この森は「神社の杜」です。そんな場所を使わせて頂くのですから、建物もまた自然の一部であるべきです。だからこそ、そんな建物を使って頂く皆さんが、自然と一体になれるのだと思っています。
あえて井戸を掘ったのも同じ理由です。確かに水道を引けば安上がりですが、それでは、自然との一体感は薄くなってしまいます。また、建物の建材も、この森で伐採した木を主に使います。足りない材木も八ヶ岳北麓に位置する佐久穂の材木を使います。材木の地産地消ですね。そうやって、可能な限り地域の自然との一体感を生みだしたいと思っています。
しかし、石の形が不揃いで、本当にこの上に柱を載せられるのかと、ご心配の方もありそうですが、そこは、優秀な職人集団です。石に合わせて柱の底を刻みます。しかも80本も!そうやって、「石の上に建物を載せる」のが「石場建て」と言われる工法です。
それが大丈夫かと思われる方もいるでしょうが、太古の神社や仏閣が、地震大国ニッポンで崩れることなく建ち続けていることからも分かるように、地震の時には石の上を柱が滑ることで、免震になり、建物への振動を和らげてくれるのだそうです。
ちなみに建物そのものも木組みで組み立てることから、そのつなぎ合わせも柔軟で、これもまた、地震には強い構造になるのだそうです。
さて、もうひとつは、「金輪継ぎ」の作業が、着々と進んでいることです。「金輪継ぎ」については、先週のブログで紹介させて頂き増したが、それをつなぎ合わせるこんなことになります。
一番長いのが、5本を継いでいます。おおよそ12mくらいいでしょうか。まっすぐな一本になっています。そのつなぎ合わせも実に美しい!これをバラして、現地で再びつなぎ合わせます。釘やボルトを使いません。凄くないですか?
今日はこれから、8KUMOで地鎮祭です。8KUMOの名前の由来となった、隣接する八雲神社の神主さんに来て頂きます。
「この土地を使わせて頂きます。ありがとうございます。そして、工事が無事に進みますことを!ここを使って頂く皆さんが、心地よく過ごせますように。」
伝統に則った儀式はいいものですね。ここで仕事をしてくれる大工さん曰く「安心する」とのことでした。それこそが、良い仕事をして頂くためのモチベーションにつながります。